ちょっとマニアックな美容医療

美容医療全般ついて解説

埋没法と切開法

埋没法と切開法

 二重(ふたえ)をつくる手術は大きく分けて二つあります。 

“埋没法”と“切開法”です。

 

埋没法は皮膚の下に糸をかけて二重のクセをつける方法です。一方、

切開法は二重ラインで皮膚を切り、皮膚と下の組織を癒着させ二重をつくる方法です。

今回はこの2つの方法の違いについて解説したいと思います。

 

埋没法のメリットとデメリット

埋没法のメリットはなんと言ってもお手軽なことです。

  • 短時間で終わる
  • キズが残らない
  • 術後の腫れや内出血が少ない  

手技的にも比較的容易で、美容外科医がまず習得する手技の一つです。

 デメリット

  • 糸がとれてあと戻りする可能性
  • 糸玉の形が出ることがある
  • 糸玉のよる異物反応や角膜損傷
  • 皮膚の余りを取れない
  • 元々二重の人は三重になることがある 

 

https://www.instagram.com/p/BzZ2AyNhiyS/

埋没法による二重術歴のある方です。一見、きれいな平行型に見えますが、三重になっています。埋没法の適応を見誤り、無理に幅を広げるとこのような三重ができることがあります。

切開法のメリットとデメリット

メリット

  • 半永久的な効果が期待できる
  • 様々な二重の形にも対応可能
  • 脱脂術や挙筋短縮術(眼瞼下垂手術、黒目形成)も併せて行える      (埋没法による挙筋短縮もありますが個人的には不確実な手技だと考えています。)

 デメリット

  • 腫れや内出血のダウンタイムが長い
  • 抜糸が必要
  • キズ痕が残る
  • 施術・修正時の手技的難易度がやや高い 

切開法のキズについては次回の記事で詳しく書きたいと思います。

 

埋没法の進歩

埋没法には100年以上の歴史があり、今では様々な方法が開発されています。

内出血や腫れを予防するため特殊な針の使用や、麻酔量を少なくする工夫がなされています。

また糸がとれない様に糸の通し方や絡ませ方・結び方を変えた方法や、

皮膚側に結び目が来ないように結膜側で結ぶ方法などが考案されました。

 

特に糸がとれづらくなったことで埋没の利点を残しつつ、切開法に近い効果を再現できるようになりました。

 

以前は幅広い二重や平行型を希望された場合は、糸に負担がかかりとれやすいと言われていました。

しかし上記の改善により糸がとれづらくなり、埋没法の適応が広がりつつあります。

手術時間や手技的難易度に関してはほぼ従来のままです。

 

埋没法の限界

そんな埋没法ですがまだまだ万能ではありません。

進歩はしているけど進化はしていないのが現状です。

どんなに工夫しても糸の強度には限界があります。

絶対とれない埋没法はありません。

  • まぶたが厚い
  • 極端に幅広い二重を希望する
  • メイクや花粉症、枕で目を擦ってしまう

これらに該当する人は糸に負担がかかりやすく、手術方法に関わらず糸の緩みやとれる原因になります。

 

また皮膚のたるみや組織の厚さの解消は難しいです。

特に二重のラインよりマツ毛側のたるみや厚さが解消されず、いわゆる 

“ハム状態”(ハムを糸で結んだような不自然な膨らみや、食い込み)になることがあります。

(二重ラインより眉毛側のたるみであれば眉下皮膚切除で解消することができます。) 

 

埋没法修正時の問題点

糸がとれづらくなったということは修正も難しくなったということです。

例えば糸を複雑に絡ませて二重の強度を上げている方法では、

修正時に前回の糸が邪魔をし二重ラインがきれいにでないことがあります。

また糸を取り出すことも難しく、切開法にならざるを得ないこともあります。

 

よって埋没法による修正は1回に留めておくことをおすすめします。

2回以上しても改善は難しく、皮下に糸がどんどん増える結果となります

無理に再度埋没法で修正しようとしても、さらに予定外の二重ラインができたり、ボコ付きなど不自然さの原因になります。

https://www.instagram.com/p/BzZ2PVqhx4x/

埋没法による予定外重瞼線の方です。埋没法後に多い目頭側のみ三重になっているケースです。切開法にて修正しました。睫毛側皮膚のたるみや蒙古ヒダの形を見極めずに埋没法を行うと、このような予定外重瞼線ができることがあります。

 

埋没法の修正を埋没法で行う場合は、糸が取り出せた場合や、前回の二重のクセが影響しない場合、たまたま片方のみ外れてしまった場合など限られケースに留めるべきだと考えます。

 

切開法か埋没法か

術者が埋没法と切開法のどちらが適当か見極めるポイントは主に4つです。

  1. 元々の二重のライン、クセがあるか
  2. 希望の二重幅と形(末広型、平行型、中間型、奥二重など)
  3. 皮膚や皮下組織の厚さ(はれぼったさ)
  4. 蒙古ヒダのかたち、大きさ

これらを考慮しどちらが適しているかを判断します。

 

“自然さ”がでる二重は人それぞれ大体決まっています。

きちんとしたシュミレーションと手順を踏めば、そんなに差はでないです。

その中で、さらに幅を広くしたい、平行型にしたい等の希望があれば微調整をします。

“自然さ”からかけ離れた形を希望されない限り、収まるところに収まります。

 

その自然さを出すためにどちらの方法が良いかは一概には言えないです。だたし、 

  • 皮膚が薄い
  • たるみがない
  • 自然な末広型を希望
  • もともと二重のクセがあり、さらにクッキリしたい

という人は埋没法のよい適応と言えます。一方、

  • まぶたが厚い(腫れぼったい)
  • 皮膚のたるみや膨らみ、腫れぼったさを解消したい
  • 黒目を大きくみせる手術も同時にしたい

 という人は最初から切開法をおすすめすることが多いです。

 

二重の形だけで言えば、埋没法の二重はすべて切開法でもつくれますが、

切開法でしかつくれない二重があります。

これは個人的な感覚ですが、 埋没をすすめる場合は、

“(切開の方が確実だけど、)埋没でも大丈夫そう” という感覚です。

  

先生選びのポイントは ?

まず大前提に、どちらの方法も満遍なく経験している先生です。

万が一あとから修正したいと思った時でも、そのような先生は切開法でリカバリーできるという強みがあります。

 

また一般的なメリット・デメリットの他に、自分が希望する二重には

なぜこの方法がよいのか納得のいく説明をしてくれる先生がいいと思います。

切開法に自信のない先生はキズやダウンタイムばかり言い訳にして

最初から埋没法を強くすすめる傾向にあります。

反対に切開ばかりしている先生は、「糸はとれる」と埋没法のデメリットを強調します。

 

 二重術は術者に技量に関わらず見た目が激変する手術です。

ばっちりメイクをされた症例写真ばかりに誤魔化されないで下さい。

 

 

以上、埋没法と切開法について簡単に解説してみました。

埋没法の進歩により適応が広がり、二重術がお手軽な時代になりました。

しかし切開法の適応も依然として変わらないのが現状です。

術者として大事なことは、埋没ではつくれない二重、とれやすそうなまぶたを見極めて、切開法を提案してあげることだと考えています。