口角挙上術
口角が上がっていると人に好印象を与えます。
また口元が引き締まり若く見られます。
逆に口角が下がっていると、老け顔、不機嫌、不満そう、怒っているといった誤解をされることがあります。
今回は口角を上げる施術、“口角挙上術”について解説したと思います。
口角の形を決める三大要素
口角の形状は主の下記の3つで決まります。
- 筋肉の動き
- 元々の唇の形や厚さ
- 周囲の皮膚のたるみ
口角挙上術とはこの三要素を変化させる施術です。
この中でも筋肉の動きが最大要因です。
口角の動きには関わる筋肉には大頬骨筋、口角挙筋、口角下制筋があります。
大頬骨筋、口角挙筋の2つは横に引っ張る、口角を上げる作用があり、
口角下制筋は口角を下げる作用があります。
この3つの筋肉の動きのバランスで口角が動いています。
例えば笑うときは大頬骨筋と口角挙筋の働きが強くなり、口角下制筋の働きが弱くなるため口角が上がります。
また加齢とともに大頬骨筋と口角挙筋の筋力が衰えてくると自然に下がってきます。
また、無表情でも口角が上がっている人は、生まれつき大頬骨筋や口角挙筋の作用が強いか筋肉自体が短い、または口角下制筋の力が弱いなどが原因と考えられています。
(生まれながらに口角下制筋が弱く、口角の高さに左右差がある人もいます。)
ヒアルロン酸による口角挙上術
口角挙上術の方法は主なものにヒアルロン酸、ボトックス、手術があります。
まずヒアルロン酸についてです。
口角を上げるヒアルロン酸の注入方法は三種類あります。
-
唇に直接打ち、膨らみを持たせることで上がった様な唇の形をつくる方法
-
口角下の皮膚に打ち、下から口角持ち上げる方法
- 周囲を皮膚のたるみを持ち上げて口角を上げる方法
いずれの方法も筋肉の動きは変えず、皮膚の変化量も少ないため、効果としてはやや弱い印象です。
打ち過ぎると口角の動きに硬さが出て不自然になることもあります。
ボトックスによる口角挙上術
次にボトックスです。口角下制筋にボトックスを打ちます。
前述の通り、口角下制筋は口角を下に引っ張っている筋肉です。
ボトックスでこの筋肉の作用を弱めると、代償的に大頬骨筋、口角挙筋に作用が強まり口角が上がりやすくなります。効果は“中”程度です。
口角下制筋は悲しい顔、困り顔やしかめっ面をする時に口角を下げる作用があります。ボトックスが効きすぎてしまうと、例えば人に怒られている時も口角が下がらず、反省していないと思われるなんてこともありえます。
打ちすぎは良くないです。
ヒアルロン酸、ボトックスはお手軽で、効果も一時的なため取り返しがつくことがメリットでもあります。
手術により口角挙上術
次に手術による口角挙上術です。
口角部の赤唇と白唇の境界の皮膚を切除する方法と皮弁として皮膚を移動させる方法などがあります。
いづれの方法も赤唇と白唇の境界にキズが残ります。
現在もこれらの方法が大半のクリニックで行われていますが、、
個人的には皮膚を切る口角挙上術は時代遅れだと感じています。
赤唇と白唇の境は複雑な3D構造になっており、また色調もグラデーションがあります。
その部分のキズは割と目立つことがあります。
また開口時につっぱり感が残ることもあります。
最近では筋肉のみをタッキング(縫い縮め)する方法や、表にキズが残らない口腔内法が開発されており、今後の主流になると考えています。
また 周りの皮膚のたるみを解消しないで、口角挙上手術をするとかえってほうれい線やマリオネットラインが強調されてしまうこともあります。
加齢による皮膚のたるみが原因で口角が下がっている場合は糸リフトや、外科的フェイスリフトなどで周囲の皮膚を上げると口角も自然に上がることがあります。
治療適応は?
忘れてはいけないことは、治療をしなくても表情筋を鍛えることで口角はある程度上がるということです。
ただし口角の上がり方には個人差がありますし、生まれ持った形もあります。
自身で笑顔をつくってみて、理想の口角を作れる場合は積極的な手術適応はないです。
その形を意識し、表情筋を鍛えることで理想の口角に近づくためです。
その上でさらに変化を希望される場合は、まずはボトックスで形を安定させる、ヒアルロン酸で形を整えるなどの施術を試してみてもよいと思います。
筋肉を動かしても理想の形にならない場合や周囲のたるみも解消したい場合などは手術の適応があります。
口角挙上術のホントの恐さ
口角挙上術は別名“スマイルリフト”と言われます。
整形に依存する人、整形を繰り返す人は笑顔が少なくなります。
静止画の美しさばかりを追求し、笑っても何ともいえない不自然さが現れます。
口角挙上術は人工的に笑顔をつくる訳ですから、その終着地とも言えます。
普段から笑顔のたえない人は年を重ねても口角が下がりづらく、なにより自然な上がり方をします。
普段から笑っていられることが大事です。